今は昔 鉄分の王様「ひじき」の真実
今回はひじきについて書きたいと思います。
ひじき
ひじきとは
ヒジキ(鹿尾菜 学名:Sargassum fusiforme)は、褐藻類ホンダワラ科ホンダワラ属の海藻の1種、波の荒い海岸近くの岩場に生え、昔から日本で食べられてきた海藻です。
主に干しひじきとして流通することが多く、茎だけのものを「長ひじき」小枝部分だけのものを「芽ひじき」と呼びます。
国内で流通するひじきの90%は輸入品で、養殖をやっている地域もあるそうです。
ひじきの栄養
非常に栄養価が高い食べ物として有名です。カルシウムや鉄などのミネラルが豊富に含まれ、ひじきを食べると長生きすると言われてきました。
・カルシウム
カルシウムは歯や骨の形成を助け、骨粗しょう症の予防をすることができます。ひじきには、牛乳の約12倍のカルシウムが含まれています。
・食物繊維
食物繊維には、整腸作用があり便通の改善効果があります。ひじきにh、ごぼうの約7倍の食物繊維が含まれています。
・マグネシウム
血液循環を正常に整えたり、カルシウムを骨に吸着させやすくする働きがあります。
・鉄
貧血や冷え性を予防することができます。
・ヨウ素
エネルギー代謝を活発にして新陳代謝を促進し髪や爪、肌を健康にしたり、成長を促す効果があります。
・タンニン
渋み成分のことで、カテキン等が多数重合したものです。
・フコキサンチン
褐色海藻(褐藻類)に含まれる成分『フコキサンチン』には、抗肥満、抗糖尿、抗酸化、抗炎症などの機能があるという研究結果があるそうです。
2015年の日本食品標準成分表の改訂
鉄分の王様とも言われた「ひじき」ですが、2015年の食品成分表の改訂版の公表によりひじきの鉄分が大幅に変わりました。
なんと1/9まで引き下げ。
製造で使われる釜の多くが鉄からステンレスに変わったからだそうです。
つまり、ひじきの鉄分は鉄釜から溶け出した鉄分がひじきに吸収されたものだったという事だったんですね。
さらに、煮込む時間でも含有量が変わってくるそうです。
鉄釜
100gあたり鉄分58.2mg
ステンレス釜
100gあたり鉄分6.2mg
ひじきの季節
ひじきの旬は3月〜4月。
東北では4月あたりから刈り取りが始まります。採ったばかりのひじきは渋みが強く食べるには適しません。
浜の暮らしとひじき
石巻の蛤浜では、ひじきの刈り取りは住民総出、春の恒例行事。
春の大潮、凪の日を狙って解禁です。でも、やるやらないは当日の朝に決まります。条件が全て揃わないと出来ないんですね。
午前中に刈り取り(今年は数時間で500kgくらい収穫)
スーパーで売られているイメージの人が多く意外と知られてないのですが、ひじきは元々黒いわけではなく、モスグリーンなんです。お湯で煮ると朝やかな緑色に変わり、長時間煮出すことでタンニンが染み出し、酸化して黒くなっていきます。
昼からはひたすら煮込みます。
昔ながらの製法で、ドラム缶で煮込みます。薪は春の嵐で浜に打ち上げられた流木を使いついでにビーチクリーン。
震災前、余剰分は市場に卸して浜の維持費に当てていたそうですが、今はその風習は無くなってしまいました。