「土・石灰・にがり」その土地の素材で土間をDIY 〜三和土の作り方〜
田舎の古い家とかに入るとボコボコでガチガチの地面(土間)がありますよね?アレです。
三和土とは
みなさん「三和土」って読めますか?
三和土(土間)を仕上げるには3つの要素が必要となります。それが
土 + 石灰 + にがり
の3つです。これを合わせる事であの硬い土間になるんですね!!全てその土地で手に入るものばかり。今回はこの三和土を作る工程を記事にしていきたいと思います。
今回は蛤浜にある「はまぐり堂」の敷地内に作ります。三和土を作った後には、小屋組みして、かまども作っていきます。
土
まずは土の調達です。
蛤浜を含む牡鹿半島は岩盤で、土というより岩石が多い地質です。
はまぐり堂の裏山は昔、畑をしていたこともあり、ミミズの多い良質な黒土でしたのでこの土を使用しました。
土を掘り起こし、石を取り除くためにふるいにかけ、漁業用のウキを半分に割ったもの(雨水を溜める樽)に紐を通し、駕籠にして土を運びます。
現場まで100m。3階建てくらいの高低差を階段を20kgくらいになる土を担いでひたすら運びます。
石灰
ここ宮城県沿岸部は牡蠣の養殖が盛んで、隣の浜には牡蠣剥き場があり、毎日大量の牡蠣殻が産廃として出てきます。今回、これを石灰として使います。
生のままだとかなり硬く粉末にできないので、焼くことで多少砕きやすくなるので、ドラム缶で焼いてひたすら叩きます。
殻を焼くと「パンッ」と爆ぜるので火傷に注意してください。
こちらもひたすら叩きます。粉末にするなら臼で挽くのがいいのですが、さすがに労力がかかりすぎるのでここで抑えときます。
叩き砕いた牡蠣殻をさらにふるいにかけ大きなカケラを取り除きます。
にがり
にがりといえば「海」
目の前には無限のにがりがあります!!
ということで、海水から「にがり」を抽出することにしました。
海水から硫酸カルシウム・塩化ナトリウムを除いたのが所謂、にがりです。
工程としては、海水を1/10ほど煮込むと白く白濁し、硫酸カルシウムが結晶化してきます。これをフィルターで濾過し、さらに煮込むと塩が結晶化し更に濾過しにがりを抽出します。
海水を汲み、ビーチクリーンがてら海辺に打ち上った流木を集め薪にして作業スタート。
ブロックを使った即席かまどで海水をガンガン濃縮。
この写真じゃ中が分かりませんね(汗)
一度濾過し、もう一度沸騰させて濾過する頃には日が暮れてしまいました。
2回目のフィルターに残っているのは塩ですので、後日かまどで炊いたご飯でおむすびをいただきました。
作ってみよう
泥団子
子供の時を思い出す作業ですね。ハンバーグを作る要領で空気を抜きながら泥団子を作り、叩き付けてさらに空気を抜きながら土間を打つ場所を土で埋めていきます。
今回、土の量を減らすために底上げに石をたくさん入れました(笑)なので最初は歩きづらいし、叩きづらいしで大変。
それでも泥団子を叩き付け、お手製のダンパーでトントン トントン土を叩い、泥団子を叩き付けて・・・以下繰り返し。
慣らす
ある程度土間が完成してきたら仕上げです。土を薄く撒きながら叩く。凹みがあるとそこに水が溜まってしまうので真っ直ぐな木を定規にしてひたすら叩きます。でも水平にしすぎるとそれはそれで水が溜まるのですこだけ水勾配をつけてあげます。
完成
最後にジョウロでにがりを撒き完成!!
毎週日曜日にワークショップ的にやっていたので2ヶ月ほどかかりました。
この三和土づくりに何人関わったんだろう?数え切れないです(汗)
そして、先人の知恵はすごいですね!!
向く人・向かない人
正直、素材から調達するのはめちゃくちゃ大変。
お金はかかりませんが、代わりにかかる時間と労力を考えたら・・・。
効率を求める人には全くおすすめはしません(笑)
よほど、筋トレをしたい人か、昔の人の知恵に興味ある人とか、所謂変態にはおすすめです。あと、チームビルディングでも使えます!